ごあいさつ

介護老人保健施設 いちいの杜
施設長 西大條  文一

本年4月1日に着任しました施設長の西大條(にしおおえだ)文一(ぶんいち)です。

漢方医学の師、岡田研吉先生からご縁をいただき、素晴らしい自然に囲まれたこの「いちいの杜」がちょうど徳洲会グループに再編され、新しいスタートをきるのと同時に施設長を拝命しましたので、新鮮な気持ちで臨んでおります。

以下、簡単に自己紹介をさせていただきます。
東北大学在学中より石田名香雄教授の下で細菌学を研究し、卒業後は大学院で病院管理学を学びました。臨床は、祖父と両親から陶冶(とうや)を受けました。昭和が終わる頃、イタリア政府国費留学生として、ミラノ大学に留学し、中世ルネサンスの医学医療、相互扶助兄弟団(健康保険組合の原型)の歴史を研究し、帰国後は、WHOから戻られた細菌学教室の恩師、梅内拓生先生の勧めもあって、感染症の検査を柱に開業し、HIVをはじめ、今日のコロナにいたる様々な感染症の検査と治療に従事、迅速検査法の普及と啓蒙を行ってきました。

しかしながら、10年ほど前、間質性肺炎の母を引きとって介護するため、“介護離職”し、24時間一日も欠かさず、介助・看護をすることとなりました。看取るまでの3年間、五里霧中で粉骨砕身しましたが、濃密で幸せな一秒一秒を共有できました。その得難い経験を老年医療に生かすことができたらと思い、近年まで新宿区の介護認定審査委員、療養型病院・老健施設医師などを勤めさせていただきました。

着任日に、原理原則に則って行動することを訓示申し上げましたが、よって立つべき支柱はやはり、ヒポクラテスの誓と、ナイチンゲールの精神でしょう。わかりやすく言うと、利用者様第一主義、衣食住便第一主義です。自然治癒力と新鮮な空気、散歩と食事、つまり医学にもまして重要なのは清潔で心地よい環境である、と要約できましょう。そこにこそ、ほほえみと、やすらぎの楽園が具現され、スタッフの心のゆとりと“和”も生まれることと信じております。

金光弘先生が創設され、徳洲会に引き継がれたこの「いちいの杜」で、これまでの経験と知識を活かせるよう高い志を以て研鑽を続けるつもりでおりますので、地域の皆様と、スタッフの皆さんのさらなるご支援ご鞭撻の程を(この広報誌“つばめ”も共に)願い上げる次第です。